接骨院開業までの流れ
接骨院を開業するためには、何を、どのタイミングで、どのように実行すればよいのでしょうか。
これだけは押さえておくべきという、基本的な流れや手続きについてご紹介します。
- 施術管理者の要件を確認
- 接骨院の開業準備
- 事業計画をたてる
- 資金繰りを考える
- 立地の選定
- 内装レイアウト・改装工事
- 施術機器、備品選び
- 接骨院の開設届
- 療養費請求方法の選定
- 院内オペレーションの検討
- 人材採用と教育
- 広告戦略、各種ツール準備
- プレオープン
- 接骨院開業
施術管理者の要件を確認
まずは、柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いを管理する「施術管理者」になるための要件をクリアしているか確認しましょう。これまでは柔道整復師の資格のみとされていましたが、平成30年4月から新たに資格取得後の実務経験と2日間の施術管理者研修の受講が義務付けられました。受領委任の届出を行う際は、従来の届出書類に加え、実務経験期間証明書の写しおよび施術管理者研修修了証の写しの添付が必要となります。
令和3年1月からは、鍼灸師(はり師、きゅう師)、あん摩マッサージ指圧師にも施術管理者要件が必要になります。受領委任の届け出の際には、資格取得後の実務経験1年間と2日間の施術管理者研修の受講が義務付けられました。これまでの届け出書類に加え、実務経験期間証明書の写し、施術管理者研修終了証の写しの添付が必要になります。
接骨院の開業準備
独立開業のためには、ある程度のスケジュールを確定させておく必要があります。「いい物件があったら開業しよう」「300万円ぐらい貯まったら開業しよう」と思っていては、いつまでたっても開業することができません。
開業を現実のものにするために、まずは開業予定日を決定してから、法人化を検討したり創業融資先を探したり、それに合わせ行動を起こすことが大切です。
そして次にすべきことは、あなたが将来持つ接骨院・鍼灸院のコンセプトを決めることです。
事業計画をたてる
事業計画書は、新しく始めるビジネスをどのように運営していくのか、具体的な行動を書き示す計画書のことです。どの地域で、どのような接骨院を開業したいのか、経営者の頭の中で思い描いている事業イメージを目に見える形で表すことで、企業の存在意義・方向性、開業資金等の詳細な予測を立てることができます。
- 家賃はいくらか
- どんな施術メニューがあるのか
- どんな施術機器を使うのか
- 什器、備品はいくつ設置するのか
- スタッフを雇用するのか
- どんな集客方法にするのか
- 保険請求はどうするのか
接骨院の開業前に資金繰りを考える
接骨院・鍼灸院を開業・運営するために必ず必要となるものが「お金」です。自己資金と相談し、必要であれば金融機関への融資など資金調達の方法を検討し、事業計画を立て、開業費用を探っていく必要があります。
一般的に、接骨院の開業時には数百万円~1,000万円前後の資金が必要といわれています。工事費や施術機器、家賃や人件費など接骨院開業に必要な費用を概算して、資金の大枠を決定します。資金の大枠が決まったら、どのように調達するかを検討します。
創業融資先は、日本政策金融公庫、銀行、信用金庫が存在します。
施術所の立地を選定する
接骨院・鍼灸院を開業するにあたり、立地の選定についてどのように考えていますか?それは、施術所のコンセプトに合致していますか?
自身が得意とする症状や年齢層によって場所を選びます。いくつか候補を出し、実際にそのエリアや物件の雰囲気、周辺施設を確認し、接骨院のコンセプトにあった地域や物件を選びましょう。
また、地域の人口や同業者の数や場所、繁盛院のリサーチ、人の流れなどを調査することも大切です。
1)地域の商圏をしっかりと把握する
接骨院・鍼灸院の商圏はだいたい半径1km 圏と言われています。周辺の人口や年齢層、世帯数の把握も必要です。
2)実際に足を運んでみる
何度も現地に足を運び、地域の特性や交通アクセス、金融機関や飲食店、周辺の環境、雰囲気などを確認することです。
例えば、このようなことを確認するとよいでしょう。
- どんな施術メニューがあるのか
- どんな施術機器を使うのか
- 什器、備品はいくつ設置するのか
- スタッフを雇用するのか
- どんな集客方法にするのか
- 保険請求はどうするのか
また、接骨院の物件で賃貸契約を行う際に、「居抜き物件」という選択肢もあります。
居抜き物件は一から内装工事を行わずに、初期投資を抑えることができ、短い期間で開業できるメリットがあります。
しかし、早く開業したいからと言って、物件の設備や契約条件のみで決めてしまっては後で後悔する場合もあります。
接骨院の内装レイアウトや改装工事
物件の次は内装のレイアウトデザインや看板などの外装まで、自院のコンセプトに沿い、かつ地域のニーズに合ったものに改装する必要があります。
そして、柔道整復師法施行規則により、接骨院・鍼灸院の施術所は施設基準を満たさねばなりません。
施術の流れをふまえて動線や施術機器の設置スペース・コンセントの配置などもすべて考慮して、一度、ご自身で平面図にイメージするレイアウトを描くことをおすすめします。
開業している先輩や施術機器業者にアドバイスを求め接骨院の内容を理解している内装業者に相談して、正式にレイアウトを作成してもらい工事を始めましょう。この時、電気総容量を忘れずに確認しておきましょう。
繁盛院になるための施術機器、備品の選び方
接骨院の経営を左右するほど重要な役割をもつのが、施術機器の選定です。その機材を活用し他院との特異性が出せれば、繁盛院になれる可能性を秘めています。開業場所や患者層、施術方法に合ったものを中心に、予算内で優先順位をつけ選定しましょう。
施術機器は、体験してからの導入がおすすめです。限られた予算のなかで最大限の効果を上げることができる様に、院のコンセプトに合わせ施術機器を見極める必要があります。納品に時間がかかる機器もあるので、期間に余裕をもって発注しましょう。
接骨院の開設届
必要な手続きや届出、申請を忘れていたり、知らなかったりしたために手続きをしていない場合、開業時から保険請求の取扱いが出来ないケースも出てきます。
開業が決まってから出来るだけ早い段階で書類を揃え、スムーズな独立開業を目指しましょう。
開業に必要な手続き
(1)開設届を提出
(2)保険請求の準備
(3)各届け出機関の番号を取得(主な機関︓共済組合・防衛省・労災)
税務署への届出
個人事業主として開業する場合は、納税地を所轄する税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。事業の開始の事実があった日から1月以内に提出することとなっています。
療養費請求方法の選定
保険請求を行う上で、切っても切り離せないのが請求業務です。特に受領委任制度を導入している施術所は、療養費支給申請書を月末に作成する必要があるため、療養費支給申請書が多いと施術者の負担となる場合もあります。
請求業務は、施術者が請求ソフト等を利用して直接請求業務を行う「個人請求」と、請求団体に請求業務を委託する「請求代行」の2パターンになりますが、世の中には多くの請求団体・請求ソフトが存在しています。しかし、どちらを選ぶにしても比較検討するための基準が分からず、知人が勧めるがまま導入・入会してしまい後々「こんなはずではなかった」と後悔してしまうこともあります。どちらのパターンにしても妥協せずに選ぶためには、双方のメリット・デメリットを知っておくことが重要です。
院内オペレーションの検討
オペレーションというと、店舗の中でのスタッフの動きをイメージするかもしれませんが、ビジネスシステムの設計・マネジメントに関することと考え、オペレーションを検討しましょう。
例えば、在庫管理であれば「配置」「仕入れ」、患者様対応であれば「接客」「シフト」、施術技術であれば、「マニュアル化」「カリキュラム設計」など幅広い内容になります。
人材を採用して接骨院や鍼灸院を開業する場合は、特にこの院内オペレーションを検討することで、どんな人材が欲しいかが見えてきます。
もちろん、実際に開業してからどんどん変化するものですから、まずはざっくりとした概要だけでも考えるようにしましょう。
人材採用と教育
求人募集数に対して応募がはるかに少ない超売り手市場が社会問題になっている現在、企業にとって人材確保は頭を抱える課題の一つになっています。
暮らし方、働き方が多様化してきた現在。古い風習には良いことがたくさんありますが、考え方も多様化するようになった今となっては、昔のやり方ばかりを押し付けてしまっては人が寄ってきません。
その接骨院にとって、今から様々なことを吸収していく「新卒」がいいのか、即戦力になりうる「中途採用」がいいのか、まず2択に大きく分かれます。
また、施術所のコンセプトやオペレーションに合わせ、たとえば「姿勢に興味がある」「スポーツ関係に強い」など要望が多数あると思います。それを加味して人材を採用する必要があります。
広告戦略、各種ツールの準備
接骨院開業の際に必要なオープンチラシ、名刺、ホームページ制作など、様々なツールを制作する必要があります。
接骨院・鍼灸院を開業で必要なツール
- 施術券
- 問診票(カウンセリングシート)
- 院内POP
- 名刺
これらのツール作成時には、接骨院改装時の看板デザインや内装を決めた際のテーマカラーやコンセプトイメージを意識しながら作成を進めていきましょう。
ツール作成や印刷手配は時間も手間もかかりますので、一括で引き受けてくれる業者に相談してみることもおすすめです。
意外なものが開業前の宣伝になることも!?費用対効果が高いもののひとつに「口コミ」が挙げられます。
「△△のため、○日~○日まで内装工事を行います。工事中は近隣の皆様にご迷惑をおかけいたしますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます」
といったメッセージが書かれた貼り紙が店舗のシャッターに貼ってあるのを見かけたことはありませんか?このメッセージには工事中の騒音等に対するお詫びが含まれているわけですが、同時に「あの場所に接骨院ができるのか」という話題を提供し、近隣の住民の方々の関心を引くことにも繋がります。
プレオープンの準備
プレオープンとは、「プレ=その前に」という英語の意味の通り、本格的に新規オープン、リニューアルオープンする前に、1日または数日間試験的に院を営業することを指します。プレオープンを行うかどうかは、院にとってのオペレーションの重要度と複雑さに比例します。
プレオープンの目的
- トレーニングを兼ねた試運転ができる
- 宣伝活動
つまり、プレオープンをおこなうことで「接客の質を上げられる」、「機器、設備などの不備がないか確認できる」「接客のオペレーションがスムーズになる」「宣伝効果、集客効果、販促効果が期待できる」など様々なメリットがあります。
アトラグループ株式会社では、接骨院・鍼灸院のための無料開業相談を承っています。接骨院開業に関するお悩みや不安、ご要望などを伺った上で、開業する上で必要な施術所のコンセプトづくり、事業計画の立て方、創業融資の方法、立地選定、集患方法などをご提案させていただきます。
アトラグループ株式会社には、自社で展開する鍼灸接骨院「ほねつぎチェーン」で培った開業ノウハウがあります。これまで100院以上もの接骨院の開業・運営サポートに携わってきました。そこで得た成功の法則や失敗事例を余すところなくお伝えいたします。