試用期間は何のためにある? 接骨院業界での役割と注意点を解説
接骨院業界でも、新しく採用されたスタッフに対して「試用期間」を設けることが一般的です。この期間は、雇用側と労働者の双方が適性を確認する重要な期間とされていますが、具体的にはどのような意味を持つのでしょうか?試用期間の目的や、接骨院業界ならではのポイント、注意すべき点について詳しく解説します。
試用期間とは?
試用期間とは、新しく採用されたスタッフが一定期間、正式な雇用契約の前段階として働く期間のことを指します。一般的には1〜6ヶ月程度の期間が設定されており、その接骨院が求める技術や接遇力が適切であるかどうかを確認するために設けられています。
法律上、試用期間中でも労働基準法が適用されるため、スタッフの基本的な労働条件や権利は本採用のスタッフと変わりありませんが、試用期間中は本採用と比較して解雇の基準が若干低いことが特徴です(ただし、自由に解雇できるわけではなく、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合のみ解雇が認められます)。
接骨院側の視点(試用期間の目的)
接骨院が試用期間を設ける理由の一つは、採用したスタッフの実際の施術スキルや、患者とコミュニケーションを取れるかどうかを見極めるためです。
履歴書や面接だけでは判断しにくい実際の技術力、患者対応のスキル、院の雰囲気への適応力などを総合的に確認します。
また、試用期間は新入スタッフに業務を学んでもらう期間でもあります。受付対応、施術録の管理、保険請求の流れなど、院の運営に関わる実務をOJTで習得してもらい、スムーズに業務に馴染めるよう指導する役割も果たします。
試用期間中にスタッフの勤務態度やスキルが期待に達しない場合、接骨院側は本採用を見送ることもあります。
ただし、その場合も合理的な理由が必要であり、単なる「うちの院に合わない」「イメージの違い」ではなく、施術技術や患者対応に問題があると判断された場合に限られます。
スタッフ側の視点(試用期間のメリット)
特に接骨院業界では、院ごとに施術の方針や患者層が異なるため、実際に働いてみて自分に合っているかどうかを判断できます。
試用期間中は周囲のサポートを受けながら、業務を覚える時間として活用し、ヒアリングの進め方や施術の流れ、保険請求の実務などを身につけながら、自分に合った働き方を模索することが可能です。
院によっては、試用期間から本採用になることで待遇が向上するケースもあります。試用期間中は給与がやや低めに設定されていることがあり、試用期間をクリアすることで、より安定した環境で働くことができます。
試用期間中に注意すべきポイント
・試用期間の条件を事前に確認する
求人票や雇用契約書に記載されている試用期間の長さ、期間中の給与や待遇、本採用の条件をしっかり理解した上で入社することが重要です。特に、試用期間中の労働条件が本採用後の労働条件が異なる場合は、それぞれの労働条件を明示することと定められています。
・試用期間中の「社会保険なし」「残業代なし」は違法
試用期間中であっても、労働者には基本的な労働法上の権利が保障されており、「試用期間だから」という理由で不当な待遇を受けることは認められません。社会保険が無い・残業代が支払われないということは違法となります。万が一、違法な扱いを受けた場合は、労働基準監督署や専門機関に相談することも選択肢の一つです。
・試用期間中の退職
試用期間は接骨院側がスタッフを評価する期間であると同時に、働く側が院を評価する期間でもあります。職場の雰囲気や施術方針が自分に合わないと感じた場合、無理に続けるのではなく、今後のキャリアを慎重に考えることも大切です。
ただし、試用期間中の退職であっても、履歴書に明記する必要があるため、以降の転職活動で説明が求められる場合もあります。
その際、採用担当者に「うちも短期間で辞められるかもしれない」と思われてしまう可能性があります。退職を検討する際は、冷静に状況を分析して後悔しないようにしましょう。
試用期間をキャリアのチャンスに変えよう
試用期間は、接骨院とスタッフ双方がより良い雇用関係を築くための大切な時間です。この期間を最大限に活用し、技術を磨き、円滑なコミュニケーションを心がけることで、本採用後のキャリアがより充実したものになるでしょう。
転職や就職を考えている方は、試用期間の条件をしっかり確認し、自分に合った職場選びを心がけることが重要です。
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