第11回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会
第11回 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会が、平成29年2月2日(木)16時00分から全国都市会館の大ホールで開催されました。
◆論点
①架空請求・水増し請求を防ぐため、患者本人による請求内容の確認・署名を行うことについて、どう考えるか。
②虚偽理由による保険請求を防ぐため、医師の同意と、定期的に医師が再同意する仕組みについて、どう考えるか。
③長期・頻回の定義がない中で、1年以上かつ週4日以上の施術について、支給申請書に施術の必要性を記載させるとともに、患者の状態を記載させその結果を分析した上で支給回数の取扱いについて検討することとされており、こうした検討を進めることにより給付の適正化を進めてはどうか。
④往療の不正を減らすため、支給申請書に同一日同一建物に往療した場合の記載と、施術した場所を記載させる欄を設けてはどうか。
⑤審査体制を強化するため、審査会を設置して審査できることとすることについて、どう考えるか。
⑥受領委任制度を導入することにより、地方厚生(支)局による指導監督を行えるようにすることについて、どう考えるか。
⑦受領委任制度を導入することにより、施術所・施術管理者を登録する仕組みや、施術管理者に研修受講や実務要件を課す仕組みとすることについて、どう考えるか。
⑧患者(被保険者)が請求するよりも、施術所等が請求(代理受領・受領委任)した方が、架空請求や水増し請求が増えるとの指摘があることについて、どう考えるか。
⑨施術所で患者が全額負担する(償還払い)よりも、一部負担する(代理受領・受領委任)方が、給付費が増えるとの指摘があることについて、どう考えるか。
⑩施術所で患者が全額負担する(償還払い)よりも、一部負担する(代理受領・受領委任)方が、患者の利便性が高いことについて、どう考えるか。
⑪柔道整復療養費の受領委任制度について、問題がある一部の患者について償還払いに戻すことについては、今後の検討課題とされていることについて、どう考えるか。
⑫いかなる支給方法にするかについては保険者の合理的な裁量に委ねられている。
受領委任制度は保険者が地方厚生(支)局・都道府県知事に委任することが端緒とされていることについて、どう考えるか。
◎受領委任制度全体・柔道整復との比較について◎
柔道整復との比較で意見が出ているものをまとめた。
・患者が請求をチェックし、医師の同意があるという意味では、柔道整復とは異なる。あはきはあはきとして支払制度を構築すべき。
・不正問題は、受領委任とは直接関係はなく、代理受領であっても、同様の問題を抱えるのではないか。あはきは代理受領が広がっており、よりよく管理するには、受領委任制度を積極的に検討すべき。
・超高齢化社会を迎え、高齢者の在宅生活を支える体制をどう確保するかが課題となっている中で、指導監督の制度がなく、支払いだけが代理で行われるのは、難しい。高齢者の在宅生活を守り、不正がなくなる体制づくりは、早くやるべき。柔整と並行してやるべき。
・柔整の不正があるからあはきの不正対策は立ち止まるということではなく、並行してやらなければならない。他山の石として、反面教師として、早めにこちらで解決するという方向もあると思う。待ったなしでいかないと、不正対策が遅れるということもあるので、議論を早めるべき。
◎参考資料◎
・あん摩マッサージ指圧
・はり・きゅう
◆主な意見
■受領委任制度導入について
【施術者】柔道整復とあはきとの比較での議論が多いが、より多面的に議論すべきである。現物給付は医科、訪問看護でも導入されているが、特に訪問看護は不正の起きにくい制度である。現物給付そのものを問題視するのではなく、制度建ての問題であると考えるべきではないか。その中でも柔道整復の特異性が何であるかという議論を深めるべきである。
【施術者】現在の代理受領委任では、無資格者でも療養費支給申請ができてしまう。これにより代行業者の不正請求が起き、問題になっている。今後は受領委任制度を導入してきちんと不正を厳格にコントロールし、研修を重ねて不正および不適がないような仕組みにしてほしい。
【保険者】すでに受領委任制度を導入している柔道整復でも制度があるにも関わらず、問題が解決されていない。柔整ではそこをどうしていくかということを議論している。年末の検討委員会で参席した地方厚生局の方が、指導監督権限があったとしても、発生している問題は解決できないということをおっしゃっていた。このことからもわかるように、制度があっても解決できない。柔整が解決してからでないと、この制度をあはきで導入するかという議論はできない。同時並行できることではないと考える。
また、介護の保険制度は施設基準等がある中での仕組みであり、柔整は87条の中で保険者にゆだねられているだけのものであるので、同等に考えることはできない。
【施術者】療養費というものはそもそも医療保険制度の中にあるものである。健康保険法律で言うならば、国民の保険、健康、福祉を安定するものであるという考えであって、療養費は医療を補完するものと考えるべきである。保険者の考え方は、補完というより切り捨てとなっている。
【施術者】療養費支給は保険者の判断にゆだねられているが、基準が統一されていない。国の医療というのであれば、基準を平均化していくべきである。
そのために保険者機能について話をつめていくことは良いことである。
【保険者】審査基準が幅広く、どこに基準をおくべきであるかが曖昧である。
一番根っこをしっかりしないと審査会をつくってもなかなか難しいだろう。
審査会をつくるのであれば、どうつくるのか。基準をどうするのか。議論が必要だろう。
■保険者機能の強化
【保険者】何よりもまず保険者の機能を発揮すべきである。償還払いであれば、患者が保険者に申請するので教育をすることができる。患者が正しく療養費について理解すれば、支給対象でない症状では来院しなくなる。
【施術者】被保険者教育は申請書がなくてもできることである。各組合のホームページには被保険者向けに説明が載っており、申請が出た時点でも組合から説明がある。よって組合員は本来療養費について理解している。
ただ、広島のある市で代理受領から償還払いに戻したことで、不支給の件数が増えたとあるが、こちらは保険者が先のような機能を発揮していなかったのではないだろうか。
また、保険者の方と話す機会があったが、保険者としては今の制度の中で不正を指摘しても返金させることしかできず、悔しい思いをしているという話であった。
【保険者】現在、あはきで起きている問題が受領委任制度を入れないと絶対に解決ができないのか、が疑問である。
【事務局】まず指導監督をすればすべてが解決するかといったらそうではない。以前も説明したことと同じ説明をするが、行政、公の機関が施術所に対して監督権限を持つには法的根拠が必要になる。受領委任ではなく、指導監督だけのものが協定でできるかということだが、いくつかこれまで動いているが、請求に対して指導監督をするということは、金を請求することに対して指導監督をするということである。
まさに受領委任、その施術所から請求するということが決まり、そこを指導監督するという協定を結ぶということでないと、ただ単に指揮監督をするという協定は結べないということをこれまでもずっと説明している。
誤解があってはいけないが、保険者機能はぜひ指揮していただきたい。保険者にもやっていただきたいが、強化する意味で、ペナルティを課せるように、厚生局にも権限をもたせたほうが、他の不正対策と合わせて、良い効果が出るだろう。
受領委任制度という形でなく、保険者同士で連携して情報を共有することで、対応も可能かもしれないが、現実的にはすべての保険者が情報を共有することが難しいと考える。行政として仕組みをつくったほうがよいだろう。
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