第11回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会
第11回社会保障部会 柔道整復療養費検討専門委員会が、平成29年3月21日(火)13時00分から中央合同庁舎第5号館講堂で開催されました。
議題
【議題】
○柔道整復療養費検討専門委員会における議論の整理に係る検討(案)
①同一建物の複数患者への往療の見直し
留意事項通知を、改正(9月30日付け)し、10月1日より施行済み
②「亜急性」の文言の見直し
○現在の留意事項通知では、「療養費の支給対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり内科的原因による疾病は含まれないこと」とされている。
○この「亜急性」の文言について、過去の質問主意書に対する政府の答弁書で「「亜急性」とは、身体の組織の損傷の状態が急性のものに準ずることを示すものであり、「外傷性」とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示すもの」とされていることを踏まえ、見直しを行う。(別資料あり)
③支給基準の明確化を図るため、判断に迷う事例の収集及び公表
○厚生労働省において、全国健康保険協会都道府県支部、都道府県国民健康保険団体連合会に設置された柔整審査会及び保険者から、判断に迷って合議が必要になった事例を収集する。
○事例については、特に判断に迷ったものについて、・具体的な事例の内容と、・柔整審査会等での判断を、調査するものとする。
○第1回目の調査は、今年度内に行う。
○厚生労働省において、事例を整理し、必要に応じて専門家に相談し、公表することとする。
○事例については、定期的に収集・見直すこととする。
(スケジュール案:調査実施の通知について、平成28年度中に発出)
④「部位ころがし」等の重点的な審査の実施に向けた審査基準の作成
○柔道整復療養費審査委員会の審査要領について、重点的に審査するものとして、『同一施術所における同一患者の負傷と治癒等を繰り返す施術、いわゆる「部位ころがし」』
の傾向があるものを加える。
○審査は、以下の審査を組み合わせて行うこととする。
(1)形式審査:記載内容に関する事項(支給申請書の記載誤り等)
(2)内容審査:施術内容に関する事項(支給対象者の具体的な負傷名、近接部位の考え方等)
(3)傾向審査・縦覧点検:同一施術所における施術傾向(多部位・長期・頻回施術の傾向、いわゆる「部位ころがし」の傾向、同一施術所における同一患者の通算受領期間の傾向等)
(スケジュール案:今後、審査要領を改正し、平成29年度○月から実施)
⑤柔整審査会の権限を強化し、不正請求の疑いが強い施術所に資料の提出や説明を求める仕組み
○柔整審査会の権限を強化し、不正請求の疑いが強い施術所は、柔整審査会からの資料の提供や説明の求めに応じることとする。
○このため、現在、受領委任に係る協定・契約において
『33 施術管理者は、申請書の記載内容等について保険者等から照会を受けた場合は、適格に回答すること。』
とされているが、照会を行う者に「柔整審査会」を加え、保険者だけでなく柔整審査会の照会、柔整審査会への回答が行えるようにする。
○また、受領委任に係る協定・契約において、『28 健保協会支部長又は国保連合会は、柔整審査会の審査に当たり必要と認める場合は、開設者、施術管理者及び勤務する柔道整復師から報告等を徴することができること。』とされているが、報告等を徴することができる者に「柔整審査会」を加え、柔整審査会も報告等を徴することができるようにする。
○あわせて、現在、「柔道整復師の施術に係る療養費の審査委員会設置要綱」(平成11年10月20日付け保発第145号・老初第683号)の「6 審査」において、『(4)柔整審査会は、審査に当たり必要と認める場合は、健保協会支部長等に対し、柔道整復師から報告等を徴するよう申し出ることができる。』とされているが、『柔整審査会は、審査に当たり必要と認める場合は、柔道整復師から報告等を徴することができる。』を加え、保険者だけでなく柔整審査会も直接柔道整復師から報告等を徴することができるようにする。
(スケジュール案:今後、協定・契約、審査委員会設置要綱を改正し、平成29年度○月から実施)
⑥地方厚生(支)局における個別指導・監査の迅速化、「受領委任の取扱の中止」を確実に運用する仕組み
○保険者等又は柔整審査会は、傾向審査や縦覧点検の実施により不正請求の疑いが強い施術所に対して調査を実施し、不正請求が判明した場合や不正請求の疑いが濃厚である場合には、施術所を管轄する地方厚生(支)局に対する情報提供を行うこととする。
○その際、保険者等又は柔整審査会は、
・不正請求について客観的な証拠があるものが複数患者分あるもの
あるいは、
・患者調査等の結果、不正請求の疑いが強いものが複数患者分(概ね10人の患者分あることが望ましい)あるもの
を優先して地方厚生(支)局に対して情報提供を行うこととする。
○情報提供を受けた地方厚生(支)局は、個別指導、監査の結果、不正請求が明らかになった施術所に対して、受領委任の取扱いを中止することとする。
○特に、不正が複数あるもの、不正の証明度が高いものを優先して個別指導、監査を行うこととする。その際、証拠がそろっているものは個別指導を省略できることとし、手続きの迅速化を図る。
○厚生労働省は、地方厚生(支)局における情報提供の処理状況について、情報提供、個別指導、監査、受領委任の中止の取扱いの件数を適時公表することとする。
(スケジュール案:今後、協定・契約を改正し、平成29年度○月から実施)
主な意見
【議論】主な意見
〇医療機関においては、柔道整復の業は何も行っておらず、セラピストとしての従事となっている。医療機関での経験期間を施術管理者要件に含めるのは、やはり無理がある。モラルの教育ができるというが、そこに重点を置くのであれば、専門学校を工夫をしたり、資格試験などを実施するなど、他に方法があるのではないか。
〇施術管理者要件の研修期間には柔道整復師の業を学ぶ期間ではなく、保険請求について、モラルについて学ぶ期間としている。医療機関でもできることがある。
〇現状では施術所だけでなく、医療機関で働く柔道整復師もいるというのが現実である。こうした状況をふまえて検討していきたい。3年の研修期間については、異論はないと思う。運動器リハビリテーションについては、引き続き検討する形としたい。
〇研修期間が2日間16時間程度となっている。16時間程度ということは、8割の時間でも解釈ができてしまう。12-13時間も含まれることになるだろう。そのため、16時間以上という書き方にしてほしい。
〇不適切な広告の是正ということで、3月に指導依頼となっているが、この内容を我々にも公表してほしい。そしてガイドラインに従わない場合は罰金刑としてほしい。
〇亜急性の文言の見直しについて、もともとの通知のどこがわかりにくかったか、どこが問題になっていて、何ができるかを考えたときに、今回の提案は2つである。1つは亜急性の外傷のような具体性を欠くもので請求していること、負傷の原因が明らか、ということははっきりさせるべきである。また亜急性という言葉の使い方については、外力のような、力の伝わり方を表すようなこともあるが、今回は身体の負傷状態を表しているので、急性、亜急性、慢性、時間軸の中での亜急性であるということをネックにしている。
慢性に至っていない急性ということで、急性、亜急性という言葉を補う解説というのが案である。意見の中では亜急性という言葉をなくすべきという意見も出ていたが、これはもともと急性、亜急性にかぎって、慢性については支給しないということだったので、亜急性は残すという方向性である。
〇30年改定の時でよいが、急性期、亜急性期、慢性期という時間軸を示すものを入れないとわかりづらい。30年改定では時間軸を入れて、わかりやすくしてほしい。
【参考】
第11回社会保障審議会 柔道整復療養費検討専門委員会配布資料
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