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施術のゴールは「痛みの緩和」だけ?施術者が提供できる「予防」の重要性

接骨院には毎日何かしらの「痛み」を訴える患者さまが来院されます。一昔前の接骨院であれば、その痛みを楽にしてあげることがゴールであったのではないでしょうか。しかし近年、健康に対する意識も高まり、病気にかかってから接骨院に来るのではなく、病気にかからないための「予防」の重要性が高まってきていると言えます。(公開:2018年2月12日、更新:2023年3月23日)

QOL(Quality of Life)とは

厚生労働省が2021年に行った調査によると、日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳、健康寿命(令和元年値)は男性が72.68歳、75.38歳というデータが出ています。介護が必要な場合や寝たきりの状態など、自立した生活を送ることのできない期間が、男性は約9年、女性は約12年あるということです。

「Quality Of Life(QOL)」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。これは「一個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待・基準・関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」と定義されています。

最近では、医療や介護の現場でもよく耳にする言葉です。「いかに長生きできるか」だけではなく、「いかに健康で自立した生活を送ることができるか」「怪我や病気であっても、その人らしい生活ができるか」という生活の質(QOL)を考慮した考えが重要視されるようになってきています。

接骨院ができる取り組み

長寿となったこの時代、できるだけ長く自身の健康を維持したいという思いが強まっていると考えられます。そんな中、私たち施術者は一体何ができるでしょうか。

健康寿命は、介護や支援が必要ない時期のことを指すため、10年程は要支援、要介護が必要になるということになります。

高齢者であっても、適度な運動や正しい食生活を送ることで、健康・体力を維持・増進することは可能です。高齢者の健康を守ることができれば健康寿命も延びて、結果として、高齢者の医療費を抑えることに繋がります。

施術者は、身体の痛みを緩和するだけではなく怪我をしにくい身体作りや、患者さまにあわせた筋力アップ・生活習慣のアドバイス・ストレス緩和などにアプローチできるため、高齢者以外の年齢層も、生涯を通じた健康を提供しているのではないしょうか。


一歩先行く施術者になるために

施術のゴールをどこに設定していますか?患者さまが訴える「痛みの緩和」だけに留まっていませんか?

患者さまの痛みを楽にすることは、もちろんアプローチしていくべきことです。しかし今は、そこで満足する時代ではなくなりました。私たち施術家は、国家資格を持っているからこそ患者さまの身体を施術することができます。

逆に言えば、患者さまの身体を施術することができる限られた人間であるということです。

わたしたちは身体のプロだからこそ、いち早く患者さまの身体の変化に気づくことができます。本人もまだ気づかない、これから痛みの原因となる変化をお伝えすることができるかもしれません。

そのためにもまずは、施術のゴールを「痛みの緩和」だけではなく、どこに設定するのかをしっかり見極めることが重要です。



(参考)
厚生労働省「令和3年簡易生命表」2022