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「頑張ったところが報われる」仕組み?インセンティブ交付金とは

「保険者機能強化推進交付金」、通称「インセンティブ交付金」は2018年度から創設されました。国が都道府県・市町村向けに、各々の評価指標と達成時に得られる点数を設定し、得点の高い自治体がより多くの金額を受け取れる仕組みです。

地域包括ケアシステム

高齢化が進む今、「地域包括ケアシステム」が推進されています。住み慣れた地域や自宅で、可能な限り自力で日常生活を送れるよう家族や医療機関等が連携し、介護が必要な高齢者を地域でサポートしようという取り組みです。

団塊の世代(約800万人)が75歳以上になる2025年以降、医療や介護の需要がさらに増加する見込みです。高齢者を支えるサービス主体が国ではなく各自治体となるため、自治体ごとに財源や人的資源の差が生まれ、提供するサービスの質や量に違いが出ることが懸念されていました。このことを考慮し、2018年度には「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が施行されました。この法律には、支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図る目的があります。そして同時に、制度の持続可能性を確保すること、サービスを必要とする方に必要なサービスが提供されることも目的としています。

インセンティブ交付金

今回の改正案では、地域包括ケアシステムを推進し、制度の持続を維持するため、市町村が保険者機能を発揮し、自立支援・重度化防止に向けた仕組みづくりが制度化されました。その一環として新たに導入されたのが、自治体へのインセンティブの付与、「保険者機能強化推進交付金」です。

保険者機能強化推進交付金は「インセンティブ交付金」とも呼ばれており、国が都道府県や市町村向けに各々の評価指標と達成時に得られる点数を設定し、その達成状況に応じて財政的インセンティブ(交付金)を増額するという仕組みです。自立支援や介護予防で成果を上げている市町村、それを支援する都道府県が評価され、国からの交付金が増額するという仕組みのため、「頑張ったところが報われる仕組み」とも言えるでしょう。

この交付金は、2019年度予算では都道府県に約10億円、市区町村に約190億円の、総額200億円程度を計上していました。しかし、2019年9月27日に行われた84回社会保障審議会介護保険部会では、「自立支援等に向けた取り組みのPDCAサイクルを自治体が継続して回せるよう、保険者機能強化推進交付金を、その重要なツールとして積極的に活用していく」との意向が示され、2020年度の当初予算案では、保険者機能強化推進交付金を400億円程度へ大幅拡充させる見通しとなりました。

政府としては、医療や介護の予防に力を入れた社会保障改革の一環として、専門的なケアが必要な重度の要介護高齢者の増加を防ぐ取り組みを自治体間で競わせ、介護費の膨張を抑える狙いがあると言えます。そのため、今回の拡充では評価指標を見直し、積極的に取り組む自治体への配分をより手厚くし、消極的な場合は減らす仕組みに改められます。

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