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ゼニス・トムソンテーブルが選ばれる理由

世界中の施術家に愛されているゼニス・トムソンテーブル。長い歴史の中で改良に改良を重ねた、カイロプラクティックの名器と言えます。トムソンテーブル体験セミナーやトムソンテクニックセミナーで長年講師を務め、トムソンベッドに精通した柔道整復師・矢野潤氏が、ゼニス・トムソンテーブルの魅力について解説します。

目次

・ゼニス・トムソンテーブルの原理と魅力
・トムソンテクニックとは
・トムソンテクニックと呼吸の関係
・ゼニス・トムソンテーブルを使用する醍醐味

ゼニス・トムソンテーブルの原理と魅力

トムソンベッドは、わずかな衝撃を加えることで身体各部に刺激を与える原理を用いた施術機器です。手動で昇降するものや油圧式のタイプなど様々ですが、ゼニス・トムソンテーブルは、ニュートンの落下の法則を応用した「空気圧式」を採用しています。

ゼニス・トムソンテーブルの構造は、シンプルに言えば「空気で持ち上げて落とす」と言うものです。エアペダルを踏むとコンプレッサーから空気が送り込まれ、ベッドの下の空気により持ち上がり、ペダルを離すとその空気が抜け、一気に落ちるという原理です。

手動だとどうしても身体が動いてしまい、調整したい位置からずれてしまうことがあります。油圧式の場合は、ドロップのタイミングと呼吸のタイミングがずれ、身体への反応が微妙に遅れてしまうこともあります。

まわりの筋肉が硬いとどうしても骨を動かしづらくなります。一気に骨を動かすためにも、スピード感が重要です。呼吸のタイミングに合わせ思うように昇降しやすいのが、ゼニス・トムソンテーブルの特徴だと言えます。

落下の法則を利用しているため、小柄な女性の施術者であっても力を加えず骨を的確に動かすことができます。体力やその日のコンディションに左右されることなく、一定のクオリティを保った施術を提供できるところが、ゼニス・トムソンテーブル最大の魅力だと言えます。

ゼニス・トムソンテーブルは、世界で一番流通しているトムソンベッドと言っても過言ではありません。1950年代半ば、J・クレイ・トムソン氏の開発により現在のトムソンテーブルの販売がスタートしました。当初は米国のカイロプラクティック業界で人気でしたが、現在では日本をはじめ、カナダやオーストラリア、EU諸国でも広く愛用されています。

トムソンテクニックとは

トムソンテクニックは、カイロプラクティック独自の概念である「自然治癒力(イネイト・インテリジェンス)」を高める施術手法と言っても過言ではありません。自然治癒力が高ければ、痛みが翌日に持ち越すようなことは起こりません。しかし、たいていの人はこの能力が落ちているために、痛みが身体に蓄積された状態となっています。トムソンテクニックは、本来人間が備え持っているはずの自然治癒力を100%発揮できるよう手助けを行います。

自然治癒力の回復には、背骨が大きな役割を果たしています。背骨の中には脳脊髄液が流れています。脳脊髄液が動くことで、脳へ栄養が送られます。脳脊髄液を動かすためには、呼吸が大きく関与しています。呼吸をすることで、骨盤と頭蓋骨が同時に動きます。呼吸が浅いと背骨に振動が伝わらず、脳脊髄液の動きが鈍くなります。脳脊髄液の動きが鈍くなると、自律神経に不調を来す場合があります。自律神経を整えるという意味で、トムソンテクニックは鍼灸施術に非常に近い手法だと言えます。

トムソンテクニックは50年以上も前から確立され、現在も試行錯誤を繰り返しながらブラッシュアップされ続けています。施術者はどうしても自分の感覚に頼って施術を行ってしまいがちですが、トムソンテクニックの場合は身体の見方と施術方法がある程度パターン化されています。

トムソンテクニックと呼吸の関係

トムソンテーブルで腰部などをドロップする際は、患者さまと呼吸を合わせることが重要です。ドロップのタイミングは、1秒間に1~2回と定められています。

完全に息を吐き切った状態が、身体が弛緩している状態です。その際にタイミングよくトムソンテーブルをドロップすることが理想的です。そのためには、患者さんと呼吸のリズムを合わせることがとても重要になってきます。身体が緊張状態にある時にドロップを行うと、脳脊髄液の動きが鈍くなり、特に三半規管の弱い人は施術後めまいを起こす場合があるため注意が必要です。

ドロップの際の音も重要なポイントです。上手な人が使うと、音の響き方が格段に違います。骨盤と腰椎のベッド部分が同時にストンと落ち、澄み切った音が響き渡ります。フォームも重要です。野球のバッティングフォームと同じで、ドロップさせる際の立ち姿勢が美しく、まるでトムソンベッドと一体化しているようなイメージです。

余談ですが、カイロプラクティックの世界では、施術中にネクタイがストンと落ちる位置で重心を図る、というセオリーが存在するようです。前重心になった際、アトラス(第一頚椎)のポイントにネクタイが落ちるかどうかを見ている施術家も多いようです。

ゼニス・トムソンテーブルを使用する醍醐味

ゼニス・トムソンテーブルを使用する醍醐味は、何と言っても施術の幅が広がる点にあるのではないでしょうか。

肩こり、腰痛、椎間板ヘルニアなど、手技だけでは対応できなかった多種多様な症状にアプローチすることができます。そして、視覚的にわかりやすく患者さまに体感いただける点も大きいと思います。

ダイナミックでありながら繊細なテクニックにより、骨への施術の醍醐味が味わえ、かつ提供できる、施術家冥利に尽きる機器だと言えます。

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