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骨盤調整より大切なこと

多くの接骨院で骨盤へのアプローチが取り入れらています。しかし、慎重に見定めなければ症状を余計に悪化させることになりかねません。痛みを取り除くだけではない、柔道整復師としての真のミッションとは何なのでしょうか。

骨盤傾斜と姿勢の密接な関係

骨盤へのアプローチを語る上で、まずは骨盤の傾きについてお話したいと思います。

骨盤の傾きに関して特に気を付けなければならないのは、立位時と上向きに寝た時のバランス、つまり荷重時と非荷重時の差です。日常で座位姿勢を多く取られる方は、その時の骨盤の倒れ方が一番のポイントとなります。

レントゲンで確認できない場合どう見るのが最適かと言うと、荷重時においてASIS(上前腸骨棘)とPSIS(後上腸骨棘)の差が2~3横指であれば正常、3横指以上で前彎傾向、2横指以下で後彎傾向と言われています。また、座位においてもそのバランスが変わらないようにするのが最適と言えます。この荷重時(立位)の骨盤傾斜は股関節や腰椎などの姿勢と密接な関係があります。

骨盤の臼蓋は半球状をしており、前面は浅く、後面は深い構造をしているため、骨盤が前傾で接合面は大きくなり骨盤後傾で接合面は小さくなります。

骨盤に対する真のミッション

例えば臼蓋形成不全の患者様を例に考えたいと思います。関節面の荷重負荷の減少を軽減すべく骨盤を前傾させ守ろうとした結果、骨盤前傾が増強され、腰椎の前彎が増強されて腰痛症になるケースもあります。

年配の方であれば、腰椎後彎、骨盤後傾が強くなりがちです。股関節の前方被覆率が減少し、股関節の荷重負荷が増加し、股関節痛となっていくこともあります。

骨盤がどのように倒れていても、普段の姿勢が悪いとなかなか良い結果には繋がりません。このあたりも合わせて注意を促すことが必要でしょう。

立位時に骨盤が前傾しすぎている方は、座位で骨盤が後傾しているとその振り幅は大きくなり、椎間板などに非常に負担がかかるため特に注意しなければなりません。私が経験した中では、ぎっくり腰の方などはたいてい前日に日頃取らない座位を長時間していることが多く、

・座敷で宴会があった(あぐら姿勢)

・車で遠出した(膝の高さより低い椅子)

・自治会でしゃがんだ姿勢で草引きをした(腰椎後彎強調)

など、いずれも骨盤後傾位、腰椎後彎位を多く取っていた後に発症しています。腰痛そのものを改善するため骨盤へアプローチすることは当然ではありますが、腰痛の本当の原因を聞き出し、再発させないことが我々柔道整復師のミッションだと考えます。

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