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役員報酬はいくらに設定すべき?

役員報酬はいくらに設定すればいいのでしょうか?これまで顧問の税理士から、「法人の利益をゼロにするように役員報酬を決めましょう」とアドバイスされてきた先生も少なくないと思います。しかし近年の税制改正等により、そうとは限らなくなっていることはご存じでしょうか?

役員報酬はいくらに設定すべき?

■税制改正により、状況は変わってきている

役員報酬はいくらに設定すればいいのでしょうか?これまで顧問の税理士から、「法人の利益をゼロにするように役員報酬を決めましょう」とアドバイスされてきた先生も少なくないと思います。

しかし近年の税制改正等により、そうとは限らなくなっていることはご存じでしょうか?

近年改正された内容で重要なものは次のとおりです。

1.役員報酬が年間1,500万円を超えても、給与所得控除は245万円で一定。

2.法人税率の最低が、18%から15%に低下。

3.所得税率の最高が、40%から45%に上昇。




要は、「法人の税金は安く、個人の税金は高く」なったということです。
今後は、役員として報酬をとって所得税を払うべきか、それとも役員として報酬をあまり取らずに法人で利益を出して法人税を払うべきか、よく考える必要が出てきたのです。

短期的な視点と長期的な視点

■短期的な視点では、個人と法人の税金・社会保険料の合計が最低になるように、役員報酬を設定すべき

法人の実効税率(法人税、住民税、事業税を全てすべて考慮した税率)は

・所得400万円以下…21.608%

・所得400万円超800万円以下…23.464%

・所得800万円超…34.621%

となっています。(大阪市内での資本金の額が1億未満の普通法人を前提としています。)

この実効税率を見ると、法人の利益が800万円を超えるまでは23%程度の税率で済みます。

これは個人所得税(5%から45%)、住民税(10%)、社会保険料を考慮すると、細かい計算をしなくとも、比較的有利な税率であることをご理解いただけると思います。

つまり今後は次のように考えるとわかりやすいと思います。

1.まず必要最低限の役員報酬をとる(先生と奥様)。

2.その上で、法人の利益が年間800万円を超えるまでは、法人でしっかり利益を出して健全経営を行う。

3.法人の利益が800万円を超えるようになってきたら、先生と奥様の報酬をそれぞれ年間1,000万円程度まで上げる。

4.それを超えるような利益が法人で出るようになれば、適正な報酬額を再検討する。




短期的な視点からは、このようなシンプルな考え方が有効になるようになります。法人で利益を出しても税金で損することが少なくなり、その分健全経営が可能になりました。そういう意味では、いい税制改正であると思います。

■長期的な視点では、考慮すべき事項が増える

短期的な視点からは以上のようになりますが、長期的には会社に貯めた利益をどうやって個人に移すかを検討する必要があります。

方法としては

1.金(弔慰金を含む)として個人に移す。

2.株式の売却代金として個人に移す。

3.株式を贈与・相続する。


などが考えられます。

会社に貯まった利益額、事業の将来性、家族の状況、事業の後継者の有無、その時の収益性などにより、どの方法によるべきかは変わってくるでしょう。しかし長期的な出口も見据えながら、短期の役員報酬を決めることが重要でもあるのです。


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執筆者
山本公認会計士・税理士事務所
山本 邦人(やまもと・くにと)税理士

※本記事の内容についてはご自身の判断のもとご利用ください。当社は一切の責を負うものではありません。

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